専門用語・法律用語の解説
- (1) 特定調停
- 特定調停とは、債務の返済が困難な債務者が申立て、調停委員のもとで債務者と債権者が話し合い、債務の削減・分割払いについて合意し、調停調書を作る手続きです。特定調停では過払い金があっても調停手続きの中では請求できませんし、債務者が約束を守らないと調停調書により強制執行されます。他方、低額な申立費用で利用でき、債務者の財産に強制執行(給与差押など)されたときには、申立てにより強制執行停止ができる場合があります。
- (2) 監督庁の行政指導
- 貸金業者は登録をしなければ合法的な営業ができません。登録できるところは、各財務局(国)と都道府県で、貸金業の登録先が監督庁になります。
行政指導とは、監督庁が貸金業者に根拠を示して一定の作為不作為を求めることです。行政処分は行政指導より厳しいもので、主な処分には、業務改善命令・業務停止命令・登録取消があります(貸金業法24条の6の3,24条の6の4)。
- (3) 基本契約
- 一般的には取引の基本的事項を定めた契約をいいます。
貸金業者の基本契約とは、同一の貸主と借主との間で、一定額の融資限度額を定めて、継続的に貸付と返済が繰り返されることを予定した金銭貸借取引に関する包括的な契約をいいます。
- (4) 推定計算・冒頭残高ゼロ計算
- 最高裁は平成17年7月19日、貸金業者に取引履歴の開示義務を認める主旨の判決を出しました。貸金業法19条の2は債務者などの取引履歴開示請求を定めています。
したがって貸金業者は最初からの取引履歴を全部開示しなければならないのですが、「古い取引履歴は廃棄した」と言って開示しない貸金業者がいます。
その場合に、当時の資料があれば、それ(借用書・振込書・通帳など)と借主本人の記憶をあわせて、開示されない部分の取引(いついくら借りて、いついくら返したか)を再現することを、推定計算といいます。
また貸金業者が開示しない部分の取引が5年位以上ある場合、貸金業者が開示した最初の取引日の債務額がいくらであるかにかかわらず、債務額0円として引き直し計算することを、冒頭残高ゼロ計算といいます。
- (5) 善意の利得・悪意の利得(悪意の受益)
- 過払い金について発生した時からの利息を請求する場合、一般的には民法704条の悪意の利得(受益)という主張立証をします。悪意とは、支払を受けることについて法律上の原因がないこと(不当利得)を知っているという意味です。これに対し貸金業者は、民法703条の適用を主張し、善意(法律上の原因がないことを知らないことを意味します)の利得なので、利息は発生しないと反論します。
具体的にいかなる事実を認識すれば、悪意(法律上の原因がないことを知っている)と認定されるかについては、最高裁平成19年7月13日判決などを参照してください。
- (6) みなし弁済
- 利息制限法で定めた利率を超えた約定利息で貸付けた場合、民事上は超えた部分の約定が無効になりますが、その利率が出資法で刑罰を科せられる利率より低い場合、一定の要件があれば有効な返済とみなされます(貸金業法43条)。これを、「みなし弁済」といいます。
民事上無効だが、刑罰を科せられず、有効な弁済とみなされることがある金利を、グレーゾーン金利といいます。
有効な弁済と認められる要件は、以下のとおりですが、現在の判例解釈では、有効な弁済となる事案は、ほとんどないと思います。
ア、登録貸金業者が営業として金銭貸借した場合の利息の契約であること
イ、債務者が約定利息を任意に支払ったこと
ウ、貸金業者が貸付のとき、遅滞なく借主に、貸金業法17条所定の契約書面を交付したこと
エ、貸金業者が、返済を受けた都度、借主に直ちに、貸金業法18条所定の受取証書を交付したこと
- (7) 裁判上の和解
- 裁判所でなされる和解をいいます。訴訟手続中になされる訴訟上の和解と、簡易裁判所での起訴前の和解があります。裁判上の和解調書には、確定判決と同じ効力があります。したがって和解調書に基づいて強制執行ができます。
- (8) 債務名義
- 強制執行できる請求権の存在及び内容を公に証する文書のことです。
債務名義のある文書には、確定判決・仮執行宣言付判決・裁判上の和解調書などがあります。
- (9) 認定司法書士
- 法務大臣の認定を受けた司法書士で、簡易裁判所における訴訟代理権業務などを行える司法書士です。
認定司法書士であっても、請求の目的額が140万円以上の訴訟代理人にはなれませんし、裁判外の和解でも紛争の目的の価額が140万円を超える事件の代理はできません。個人再生や自己破産の申立代理人にもなれません。
これら権限の制限があるところが、弁護士との大きな違いです(司法書士法3条参照)。
- (10) 財団法人日本クレジットカウンセリング協会
- クレジットや消費者金融の利用者で返済が困難になっている個人のために、無料でカウンセリング・債権者の交渉などをしてくれる公益法人。但し、過払い金返還や自己破産・個人再生の事案は他の相談機関(弁護士会相談センターなど)を紹介されます。
全国7か所に相談センターがあり、電話で相談日時を予約できます。
- (11) 法テラス(日本司法支援センター)
- 平成16年6月公布の総合法律支援法に基づき設立された独立行政法人です。
民事法律扶助業務(経済的に困っている人のために、無料法律相談・弁護士司法書士の費用の立替をする)、国選弁護関連業務、犯罪被害者支援業務などを行っています。
- (12) 可処分所得・可処分所得要件
- 個人再生手続には、小規模再生手続と給与所得者等再生手続があります。
給与所得者等再生は、債権者の同意を得ることなしに再生計画を認可する手続です。その代わりとして法定の手続より算出した所得額の2年分以上を返済額としなければなりません。これを「可処分所得要件」といいます。法定の最低弁済額と可処分所得2年分の額と破産的清算価値の額とを比較し、最も大きい額が再生計画の返済額になります。
- (13) 破産的清算価値・清算価値保障原則
- 清算価値保障原則とは、債務者が破産開始決定を受けて全財産を換金処分した場合に、債権者が受け取る配当に相当する金額(破産的清算価値)を保障しなければならないという原則です。小規模再生では法定の最低弁済額と破産的清算価値の額とのいずれか大きい額が再生計画の返済額になります。
- (14) 同時廃止・破産免責
- 同時廃止(同時破産廃止)とは、裁判所が、破産者に破産手続費用を支出できるほどの財産がないと認めて、破産開始決定と同時に、破産手続廃止決定をする場合をいいます。
破産免責とは、破産者が破産開始決定時に負っている債務につき、弁済責任を免除されることです。その意味は、債権者から強制執行などで弁済を強制されないが、自発的に返済すると有効な返済になるということです。
ページトップへ戻る