利息制限法の制限利率による引き直し計算は、どのようにするのですか。
貸金業者から開示してもらった取引履歴を、電卓で引き直し計算するのは、大変な時間と労力が要りますし、計算間違いが生じやすいです。したがって、市販の引き直し計算用の専門ソフトを利用します。最近では、インターネット上から引き直し計算の専用ソフトをダウンロードできます。過払い金返還請求の専門家向け手引書添付のCD-ROMには引き直し用計算ソフトが付いています。これらを利用すれば便利でしょう。
以下で、具体的な入力計算方法を説明します。
- (1) 貸金業者1社から一つの基本契約に基づいて借入れと返済を繰り返していた場合、最初の借入れが10万円未満でも基本契約の限度額(極度額)が10万円以上なら、年18%の利率で計算し、毎回の借入金が10万円未満でも、年18%で計算します。但し毎回の借入金額が10万円未満なら年20%で計算すべきという考え方もあります。基本契約の限度額(極度額)が100万円以上なら、毎回の借入金額が100万円未満でも年15%で計算します。但し毎回の借入額が100万円未満なら年18%で計算すべきという考え方もあります。
- (2) 基本契約がない借入れの場合、最初に借入れた金額を基準に、利率が適用されます。
最初に借りたのが20万円なら、返済で10万円未満になっても年18%で計算し途中で借り増して100万円以上の借入れになったら、その時点から年15%で計算します。 - (3) 貸借取引の途中で、新規借入れをして、従前の約定元金を全部返済したことにし、差額分の現金を渡される場合(例―金20万円の借用書を書いて以前の借金残19万円を返済したことにして差額現金1万円を渡される場合)は、一連の取引として、単純に計算してよいです。
- (4) 貸金業者の主張する約定元金を完済し、その後一定期間をおいて、同じ貸金業者から再度借入れをした場合は、基本契約が同一でなければ、原則として別々に引き直し計算をします(個別計算)。
最高裁判所判例(平成20年1月18日判決)は、第1の基本契約と第2の基本契約の間に約3年間の空白期間がある事案で、特段の事情がない限り、一連の取引として単純に計算できない(基本契約ごとの個別計算)としていますが、第1の基本契約で発生した過払い金を新たな借入金に充当する合意の存在などあれば特段の事情が認められるとしました。
また基本契約が一つでも、取引の中断が何ヶ月にもなる場合、一連の取引とし単純に計算できない場合があります。
したがって、完済後の再借入の場合、取引の中断が2ヶ月以上あるときは、過払い金請求を得意とする弁護士などに、相談したほうがよいでしょう。 - (5) 貸金業者が取引履歴の全部を開示しない場合、「推定計算・冒頭残高0計算」という引き直し計算の手法を用います。このような手法を使う必要がある事案は、過払い金請求を得意とする弁護士などに相談すべきでしょう。
- (6) 過払い金については、発生した日から年5%の利息をつけて計算します。年6%の利息を請求できるという下級審判例がありましたが、最高裁判所判例が年5%を採用した以降、年5%説が主流です。
過払い金に年5%の利息をつける根拠は、「悪意の利得」(民法704条)を貸金業者がしていると判断されるためです。
貸金業者に年5%の利息を付して請求すると、「善意の利得」(民法703条)だから、利息は払わないという反論をされる場合があります。
この点は、最高裁平成19年7月13日判決、同平成21年7月10日判決を引用して、再反論することになりますが、貸金業者から、悪意の利得でなく善意の利得だとか、悪意の利得者(悪意の受益者)となった時期などについて、反論されたら、過払い金返還請求を得意とする弁護士などに相談したほうがよいでしょう。










