完済してから5年以上経過し、当時の資料がない場合でも、過払い金返還請求ができますか。
- (1) 過払い金の返還を請求する権利は、「不当利得返還請求権」という債権です。
したがって民法167条により10年の消滅時効にかかります。
では、過払い金返還請求権の消滅時効は、いつから進行するのでしょうか。
以前は、下級審判例で見解が二つに分かれていました。
第一の見解は、毎回の支払いで過払い金が発生した時から、個別に時効が進行するという説です。
第二の見解は、金銭貸借取引終了時(通常は完済時ですが、完済以外の事情で取引を終了させた場合も含みます)から、時効が進行するという説です。
この点について、最高裁判所が、基本契約に基づいて継続的に借りたり返したりを繰り返している場合は、特段の事情がない限り、取引終了時から、時効が進行するという判決を出しました。
(最高裁平成21・1・22判決、同年3月3日判決、同年3月6日判決)
- (2) 貸金業者との取引は、基本契約に基づいて借りたり返したりを継続している場合が、ほとんどです。したがって、完済してから5年以上経過していても、10年経過していなければ、消滅時効が完成しませんので、過払い金返還請求ができます。
但し、当初に借入れた金額を毎回分割返済するだけ(追加借り入れなし)という金銭貸借取引の場合は、過払い金が発生した時から、消滅時効が進行すると考えられます。
- (3) 資料が全くない場合でも、貸金業者は、取引履歴を保存しているはずなので、大手貸金業者を中心に、取引履歴の開示に応じてくれるところが多いです。
もっとも、完済して何年も経過していると、取引履歴を破棄したとか、取引自体していないなどと、言ってくる貸金業者もないわけでは、ありません。
したがって、借用証書・領収書・カードなどの当時の資料があった方が、ベターです。
なお、質問8に記載した信用情報機関には、完済した契約情報がしばらく登載されますので、信用情報機関に情報開示してもらい、取引開始日などを知ることができます。
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